LATCH 駅員日誌
- 日付
- 2023/08/28
- 駅名
- 上野駅
- 氏名
- 飴屋 楊
彼は常に、新鮮な驚きを僕にもたらしてくれる。
記事
合宿が始まり、LATCHの面々は皆、エキメン総選挙に向け日々奮闘中である。
その中でも真っ先に僕の目を惹きつけたのは、やはり彼……根岸君だ。
そもそも彼は理由をつけて合宿所に現れないだろうと、僕は高を括っていた。
が、予定到着時刻から遅れること38分。僕の予想に反して、彼はやってきた。
特筆すべきは、宿泊する気の感じられない手ぶらと言ってもいい軽装のいで立ち。
端から帰りたいオーラを全身に纏い、どう言い訳をつけて共同生活から逃れようかと好機を見計らう目つきで周囲を窺っていた。
僕の予想は当たらずと雖も遠からずだった、と言えるだろう。
そしてさらに驚くべきことに、翌日、根岸君は滞在に必要な荷物を持参して合宿所に戻ってきた。
彼の心に、誰がどんな楔を打ち込んだのか……彼は常に、新鮮な驚きを僕にもたらしてくれる。
だが、根岸君のことだ。このまま何事もなく共同生活を終えるとは考えにくい。
これから彼がどう足掻いていくのか……実に楽しみだ。
そして足掻き抜いた末に、彼がアイドルとしてどう羽化するのか――。興味は尽きない。