ケ ベーロ!

Che bello! Che bello!
Che bello!
ケ ベーロ!
「大人の色気」を全面に打ち出した、夜が似合うアダルティなユニット
楽曲

3rd CD 『STATION IDOL LATCH! 03』

関連楽曲

ユニット名の由来

《前編》

饗庭「――そして俺は天を仰いで叫んだんです。『Che bello! Che bello!』って!」
大崎「ケロケロベーロ? どういう意味ですか?」
饗庭「なんて素晴らしいんだ! なんて美しいんだ!――そんな感動を表現する言葉さ」
伍代「それが、大江戸線の代々木駅改札でお前のハンカチを拾ってくれた女性が、乗り換え先の山手線の代々木駅ホームにいたことに感動して、思わず言った言葉か?」
饗庭「この運命的なシチュエーションに、俺は声を上げずにはいられなかったんです!」
伍代「同じ代々木駅だ。そりゃあバッタリもう一度会うことだってあるだろう」
饗庭「ああ……その方にも、同じことを言われました」
羽振「チッチッチ。一度離れた二人が磁石のように引き寄せ合う――ポケベル時代だったら、それだけで運命感じちゃうってもんよ」
大崎「ポケベルってなんですか?」
羽振「は? マジかよ」
饗庭「俺は知っていますよ。指先で紡ぐ愛の電子信号……そうですよね?」
伍代「電話機能もついてなくてな。短い数字だけでメッセージを伝え合うんだ」
大崎「へ~! 指先から数字ビームを出してたんですね!」
伍代「……さすがにそれはマズいな。大崎、後でちゃんと教えてやるよ」
大崎「やった~!! 僕も、数字ビームを出せるようになりたいです!」
 
羽振「そういやあ、ポケベルを使ってた頃は、上手く待ち合わせ場所を伝えられなくて会えない夜なんてザラだったな」
大崎「スマホがあれば、すれ違ってもすぐに連絡できますもんね」
伍代「俺は、いつも監視されてるような最近の端末は好きじゃない。何に追われるでもなく、バーで静かに一人の夜を過ごしていたい」
饗庭「俺は、そんな光景を遠くから観察していたい……」
伍代「遠くからはやめてくれ」
饗庭「えっ? じゃあ、お隣に座っても?」
伍代「……いつもなんだかんだ言って隣に座ってくるじゃないか。遠くから見られるよりはマシだ」
饗庭「伍代さんのお気持ち、心の宝箱にしまっておきます。そして時々、そっと取り出してはうっとりと眺めることでしょう。伍代さんが俺を隣に置いてもいい存在だと認めてくれた――」
 
レチ「スタジオ使用時間、アト5分で終了デス」
 
羽振「あん!? もう終わりか!?」
大崎「あれ? そういえば僕達、ここで何してたんでしたっけ?」
饗庭「それはもちろん……おや、最初から最後まで、世間話しかしていませんでしたね」
伍代「そういえば今日は、ユニット名を決めるためのミーティングだったな……」
羽振「ミーティングなんて慣れねえことするから、関係ねえ話ばかり弾んじまったなぁ」
饗庭「素晴らしいひと時でした。たまにはこうして、スタジオでミーティングするのも新鮮で素敵ですね」
大崎「次回は、ボードゲームとお菓子をいっぱい持ってきましょう!」
伍代「酒の持ち込みは……さすがに禁止か」
羽振「っつーことで、ユニット名は無しって東海林に伝えとくか!」
大崎「決まる気、しませんもんね! あははは!」

《後編》

ミーティング後。
 
バーのカウンター。
 
伍代(俺達のユニットに名前をつける、か。今までこういう決めごとは成るように成ってきたが、今回ばかりは誰かが締めなきゃな。だが、誰が? ……俺が?)
 
伍代「……それはさすがにガラじゃねえな」
 
マスター「いらっしゃいませ」
 
伍代「なんだか、来る予感がしていたんです」
羽振「ああん? なんだよ、待ってくれちゃってたの?」
伍代「待つわけありませんよ。できれば一人で飲みたいんですから」
羽振「ったく、ツレねぇなー。マスター、いつものやつ頼む。伍代は、ミーティングの後ここに直行か?」
伍代「ええ。帰るつもりが、気づいたら足がここに向かってましてね」
羽振「くぅ~、孤独が身に沁みるね~」
伍代「骨の髄まで沁みて、もはや俺の一部ですよ。だから今夜だって独りで――」
 
マスター「いらっしゃいませ」
 
大崎「マスター! すみませーん! 一か月くらい前、ここにマジックペンのキャップ忘れちゃったんですけどー! って、伍代さんに羽振さんじゃないですか!!」
羽振「よう、大崎。来ると思ってたぜぇ」
大崎「えー! 待っててくれたんですか! 嬉しいな~!」
伍代「そんなわけないだろう。せっかく、さっきまで静かな時間を過ごしてたっていうのに……」
大崎「じゃあせっかくだから、マスター、僕もコーヒー牛乳みたいなやつください!」
伍代「それに……大崎、もうそのマジックの先、カラカラだと思うぜ?」
大崎「そうなんですよ! だけどなぜだか今日、取りに行かなきゃと思いまして!」
羽振「ハッハッハッ! こいつはすげぇぜ! これで饗庭まで揃ったらミーティングの再開だな」
伍代「まさか、さっきまで会ってた4人が偶然揃うなんて、そんなこと――」
 
マスター「いらっしゃいませ」
 
饗庭「なぜだか呼ばれてしまったんです。今夜は月が、ウィスキーグラスで音を立てる氷のように美しかったから……でしょうか」
伍代「おいおい、こんなことあるのかよ……」
羽振「こりゃ、すげぇ! おったまげ~!」
大崎「すごい、すごーい!! 約束もしてないのに、また4人揃っちゃいましたよ~!」
羽振「そういや、さっきのミーティングでそんな話をしてなかったか? 駅の乗り換えで偶然再会した女性に向かって……」
 
饗庭「『Che bello!』 と叫びました!」
伍代「素晴らしい、美しい、そんな意味だったな」
饗庭「そうです。まるで澄んだ泉に白鳥が降り立つように……まるで可憐な花の上で蝶が羽を休めるように……そう、俺達が引き寄せ合うのは宿命。この喜びを言葉で表現するならば……俺達自身が、Che bello!」
大崎「ケッベーロォ~~!!」
羽振「Che bello! ヒュー♪ ノリノリでイケイケな響きじゃねぇか!」
伍代「俺達はChe bello!、か……饗庭の言葉に丸め込まれてるような気もしますが、なるほど、そうなのかもしれませんね」
 
伍代(とはいえ、それをそのままユニット名にしちまうってのもな……まあ、もう少し酒がすすんでから話せばいいか――)
 
そう思いながら、盛り上がる3人を横目に静かにグラスを傾けたのだった。