はなえみ

花ゑみ 花ゑみ
花ゑみ
はなえみ
「和の心」を大切にし、古き良きを伝える優美でしとやかなユニット
楽曲

3rd CD 『STATION IDOL LATCH! 03』

関連楽曲

ユニット名の由来

《前編》

和泉「英どの、あの淡い色のバラの名を教えてくれるかい?」
英「……バニラ・パフューム。一輪咲きで、繊細な色合いが綺麗……」
和泉「いかにも。こちらのバルカロールというのは、妖艶な佇まいだね」
英「……これは、黒バラ。花びらが……ベルベットみたいで、美しい」
和泉「英どのは、花の良いところを見つけるのが上手だね」
英「……ありがとう」

高岩「亜恋さーん! 皐月さーーん!」
和泉「高岩どの。お疲れさま。おじいさまの用事は済んだかい?」
高岩「うん、ばっちり!」
英「……水芙蓉(すいふよう)の人、それは?」
高岩「これはね、おじいちゃんが持たせてくれた巣鴨のあんぱん! 『みんなでどうぞ』って!」
和泉「ありがたいね」
英「あそこに……ベンチがあるよ」
和泉「いいね。ゆっくりするとしよう」
高岩「賛成~! あっ、洋館の入口のところにジェラートの移動販売車が来てたんだ。期間限定なんだって! あとで食べたいな」
和泉「無論だ。今日は庭園を堪能しよう」
高岩「愉快適悦(ゆかいてきえつ)だなぁ。ここで景色を楽しんでいれば、ユニット名の案もすんなり出るかもしれないね!」

英「……あ」
和泉「そうだった。高岩どのが来るまでに軽く相談しておこうと思っていたはずが……バラの馥郁たる香りに惑わされてしまったようだ」
英「僕も……どのバラも綺麗だったから……」
高岩「ふふっ、気にしない気にしない! 三人文殊(さんにんもんじゅ)! 全員揃った今から考えればいいよ~」

和泉「では、あんぱんをいただきながらユニット名の案を出していくとしようか」
高岩「うんうん! その前に、売店で飲み物買おうよ!」
英「……あそこにはバラのお菓子やジャムも売っているから……家の人に買うのもいい」
高岩「そうなんだ! いいこと教えてもらっちゃった」
和泉「バラのジャムか……」
英「……翡翠蘭の人、気になるの?」
和泉「母の故郷では、ジャムを紅茶に添えたり、焼き菓子に入れたりするんだ。ボクも土産に買っていこうかな」
高岩「うん。きっと喜んでもらえるよ」

高岩「ここまで花の香りが漂ってくるね!」
和泉「ああ。季節の移ろいを感じる良き香りだ」
英「……こういう瞬間が、僕は……とても好き」
高岩「俺も俺も~!」
和泉「季節の移ろいや、そこに感動した気持ち――。そういったものを、丁寧に作品にして届けていきたいね」
高岩「花鳥風月を愛でる気持ちってさ、時代が変わっても変わらずにあるものだと俺も思うよ」
英「花鳥風月……」

花の香りを乗せた穏やかな風が吹き、3人は足を止めた――。

《後編》

高岩「皐月さん? どうかした?」
英「……花鳥風月を愛でる、翡翠蘭に……水芙蓉……」
和泉「何か美しいものを見つけたのかな」
英「……ユニット名を……考えた」
高岩・和泉「えっ!?」
英「……よくなかった?」
高岩「まさか~! その逆だよ! 今ひらめいたの?」
英「……うん」
和泉「英どの、聞かせてもらっても?」
英「……花笑み」
高岩「はなえみ?」
和泉「ああ、それはまた……」
高岩「えーっと、どういう意味だっけ?」
和泉「花が咲くこと。また、花が咲く様子を人の微笑みにたとえた古語だね」
英「そう。翡翠蘭の人と、水芙蓉の人の笑う顔を見ていたら……浮かんだ」
高岩「俺たちの!?」
英「そう」
高岩「そっかぁ。すごく照れくさいけど、すっごく嬉しいな! ねっ、亜恋さん!」
和泉「うむ。面映ゆくもあり、誇らしくもあるね」
 
英「……花は、同じ瞬間は二度と来ないことを教えてくれる。だから……多くの人に、愛される。花鳥風月を愛でる人の心も、きっと……同じ」
和泉「『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり』」
高岩「あっ、それ知ってる! 『平家物語』だ!」
和泉「すべてが移ろうからこそ、刹那の時を大事にしたい。この想いを、パッセンジャーの皆と分かち合えたら、こんなに素晴らしいことはないと思う」
高岩「俺もそう思う。有為転変! だから『今』を大事にしないとね!」
和泉「では、ユニット名は『花笑み』でいこう」
英「……よかった」
 
高岩「あっ、ねえねえ、どう書くのがいいかな? 全部ひらがな? あえて英語にしちゃうとか?」
和泉「ふむ。古きものへの眼差しを忘れずにいるためにも、旧かな遣いを用いてみるのはどうだろうか。『花笑み』なら、『笑み』を平仮名にすると、『え』の形が変わるのだが」
高岩「んーと、昔の『え』の字になるってことだよね?」
和泉「そうだね」
英「……サネカズラのつるみたいな形の字?」
高岩「つるみたい? あははっ、そうそう! 『る』の下がしゅるしゅる~ってしてるみたいな! ぱっと見て印象に残るし、俺は大賛成!」
英「僕も」
和泉「では、『花』は漢字のままで、『笑み』は旧かな遣いの『ゑみ』にするということでいいかな?」
高岩「もちろん! 俺たちらしさが出てる気がするね!」
英「うん」
高岩「わぁ~、決まった、決まった! 『花ゑみ』、いい名前だね! 亜恋さん、皐月さん、『花ゑみ』として、これからもよろしくね!」
和泉「ああ。こちらこそ、どうぞよろしく」
英「よろしく」
高岩「よーし! ユニット名も決まったし、俺たちも『今』を楽しまなくちゃね!」
和泉「ああ、そうするとしよう」
 
微笑みを交わして、3人は広場へと向かった——。