テネット

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テネット
息の合ったパフォーマンスが特徴。双子で結成された高貴なユニット

ユニット名の由来

《前編》

壁に掛かった時計の長針が12を指したその瞬間、練習スタジオのドアが開く。
 
不動「悪いな。待たせたか?」
綜馬「ううん。時間ぴったり。さすがだね」
不動「その箱……差し入れか?」
綜馬「ここに来る途中の駅のポップアップショップで売ってたドーナツ。大事なミーティングだし、気分転換に甘いものが欲しくなるかなと思って」
不動「……言ってくれれば俺が買ってきたのに」
綜馬「それじゃ意味ないでしょ。僕の差し入れなんだから。それに兄さんは家のお茶会に来る時、いつも何か持ってきてくれるじゃない」
不動「ふむ……だが次のミーティングには、俺がお前のための菓子を用意してくる」
綜馬「ふふ、よろしく。楽しみにしてるね。じゃ、さっそく今日の本題に入ろうか。ユニット名、考えてきた?」
不動「いくつか候補を挙げてこいと言ってきたのはお前だろう? 正直、俺はなんでもいいが。礼が気に入って、礼が何より輝く名前になればそれでいい」
綜馬「そう言うと思った。だから、僕もいっぱい用意してきたよ。僕達『二人』のユニット名」
不動「その封筒か?」
綜馬「並べて見比べた方が決めやすいかなって思って」
 
不動「すごい量だな」
綜馬「徹夜して考えたんだ」
不動「『twins』、『symmetry』、『reversi』、『unison』……二人とか、双子に関わる言葉が多いな」
綜馬「僕たちのユニットの一番の特徴だからね。兄さんが考えてきた名前は?」
不動「『ivory dignity』、『noblesse blanc』、『gentle noble』、『純白天使(イノセントエンジェル)』……」
 
綜馬「僕に関する名前ばっかり? 二人のユニットなのに、それじゃあだめだよ」
不動「何故いけない? 俺の役割はお前を輝かせること。お前の一番のファンで、誰よりも近くにいるパッセンジャー、それが俺だ」
綜馬「今は……それだけじゃないでしょ」
不動「それだけではないとは?」
綜馬「今までのLATCH!の活動を通して、僕は兄さんといろんな出会いを経験してきた。LATCH!のみんなが、パッセンジャーのみんなが、僕達をアイドルにしてくれた。アイドルとして僕たちを、いろんなところに連れて行ってくれた。見たことのない景色をたくさん見せてくれた。でしょ?」
不動「それは……否定はしない」
綜馬「だったらやっぱり、僕たち二人の姿が想像できるユニット名がいいと思う。パッセンジャーが応援してくれているのは、僕と兄さんの二人なんだから」
不動「それとこれとは話が別だ。どれほどアイドル活動をしようとも、俺の目的は絶対に変わることはない。これは俺の生きる上での信念だ」
綜馬「だけど……」
不動「俺は俺のルールに則ってLATCH!をやっている。お前の一番のパッセンジャーであること。輝くお前を誰よりも傍から見ること。それを曲げることは、たとえ礼の頼みでも受け入れられない」
綜馬「僕にだって、曲げられない信念があるよ」
 
二人の視線が交わり、スタジオに張り詰めた空気が流れた。