LATCH 駅員日誌
- 日付
- 2023/12/01
- 駅名
- 高輪ゲートウェイ駅
- 氏名
- 和泉 オーキッド 亜恋
譲れぬものがあっていい。
記事
本日は、英どのの誕生日。
竹下どのが気を遣って部屋を空けてくれたので、丁重にお礼を伝えて、英どのを招いた。
この合宿が始まってから、英どのが表情を曇らせていることは知っている。
だからこそ、この部屋にいる間だけは寛いで欲しいという思いと祝いの気持ちを込めて、工芸茶を振る舞った。
大ぶりなガラス製の急須に少しの湯を入れてから固形の茶葉を置き、ゆったりとお湯を注いでいく。
白い牡丹が緩やかに花開くのを、英どのは静かに見つめていた。
温かく華やかな花のお茶の贈り物を、彼は喜んでくれたようだ。
牡丹の花言葉は「富貴」や「壮麗」が有名だが、「誠実」という言葉もある。
いつ、いかなる時も、物事の「本質」を誠実な眼差しで見つめている英どのを、ボクは心から尊敬している。
心持ちが変化することはあっても、彼の持つ「本質」は変わらない。
彼は彼のままでいい。
譲れぬものがあっていい。
それが個性というものであり、その人を輝かせる源なのだと、ボクは考えている。